製造業
柔軟重量材の搬送自動化に向けた双腕ロボットPoC
原反、シート、長尺部材のように「重い・長い・形が変わる」対象物を扱う製造現場では、作業者2名による持ち上げ、移動、位置合わせが最後まで残りがちです。本ケースでは、現場観察、作業分解、画像・力覚データ設計、ロボット選定、段階PoCを組み合わせ、AI開発側から自動化の勝ち筋と撤退条件を明確にします。

対象部門
生産技術・DX推進・ロボット導入検討部門
導入検討のきっかけ
20〜45kg級の柔軟素材搬送が2人作業に残り、ロボット化の成否を短期間で判断したい
業務上の課題
柔軟素材の搬送は、画像AIだけでもロボットだけでも解けません。部材は20〜45kg級で、折れ方、たわみ、端部の位置、滑りやすさが毎回変わります。現場では「熟練者が自然に持てる位置」を暗黙知で判断しており、単純なピッキング問題として設計すると、持つ位置がずれる、2台のロボットが引っ張り合う、作業台上で整わない、といった失敗が起きます。
設計方針
最初から全自動ラインを作るのではなく、AI開発の観点で作業を「認識」「保持」「協調搬送」「位置決め」「整え」に分解します。Step1では協調搬送が成立するかを検証し、Step2で画像認識、状態推定、スキルハンド、力覚フィードバックを追加します。PoC前に進める条件と止める条件を合意し、投資判断に使える検証計画に落とし込みます。
開発の詳細
現場ヒアリングでは、工程表だけでなく、作業者の手の位置、持ち替えタイミング、部材が崩れやすい瞬間、声かけ、停止判断まで観察します。AIで置き換える判断と、人が残す判断を分けて定義します。
データ設計では、通常画像だけでなく、部材端部、折れ目、たわみ量、持ち上げ姿勢、ロボットの力・トルク、成功/失敗ラベルを記録します。後続のVLM(Vision-Language Model)や状態推定モデルが学習しやすい粒度へ変換します。
ロボットPoCでは、可搬重量に余裕を持たせた構成で、2台協調搬送、速度同期、コンプライアンス制御、非常停止時の保持姿勢を検証します。AIは「どこを持つか」「いつ持ち替えるか」「危険な姿勢か」を判断する役割に寄せます。
評価設計では、搬送成功率、作業者介入回数、位置決め誤差、持ち直し回数、安全停止回数、サイクルタイムを指標化します。現場が納得できる数字で次フェーズ投資を判断できるようにします。
PoC後は、搬送だけ先に自動化する案、端部認識まで進める案、スキルハンド開発を加える案に分け、費用、期間、リスク、現場教育の負荷を比較します。