Agentic Workflowとは? — 従来の業務自動化との違いと導入アプローチ
李 迅然
CEO / Black AI株式会社
Black AI株式会社 代表取締役CEO。AI導入の構想整理から設計・実装までを一気通貫で支援。企業の業務課題に即したAIシステムの設計・開発に従事し、RAG・社内文書検索AI、GUI操作型AIエージェント、データ基盤構築など、実運用を前提としたAIソリューションを手掛ける。
Agentic Workflowとは
Agentic Workflow(エージェンティック・ワークフロー) とは、AIエージェントが人間に代わって複数ステップの業務プロセスを自律的に判断・実行する自動化アーキテクチャです。従来の「ルールベースで決まった手順を繰り返す」自動化とは異なり、AIが文脈を理解し、必要なツールを選択し、例外にも柔軟に対応しながら業務を完遂します。
具体的には、以下のような処理を一つのワークフローとして自動化できます。
- ユーザーの自然言語指示を理解する
- 社内ナレッジ(文書・図面・過去案件)を検索する
- 検索結果をもとに判断・要約・文書生成を行う
- 基幹システムへのデータ入力やSlack通知を実行する
- 処理結果を報告し、必要に応じて人間に確認を求める
従来の自動化アプローチとの違い
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)との違い
| 比較項目 | RPA | Agentic Workflow |
|---|---|---|
| 判断能力 | ルールベースのみ | AIが文脈を理解して判断 |
| 例外対応 | エラーで停止 | AIが代替手順を探索 |
| 構築方法 | フロー図の手動設計 | 自然言語での指示が可能 |
| ナレッジ活用 | 不可 | 社内文書を検索・参照して回答 |
| メンテナンス | UI変更で頻繁に壊れる | 画面認識AIで変更に適応 |
| 対応範囲 | 定型業務のみ | 非定型業務にも対応可能 |
RPAは「同じ手順を同じ条件で繰り返す」ことに特化しています。一方、Agentic Workflowは「状況に応じて判断しながら業務を進める」ことが可能です。
M365 Copilot / ChatGPTとの違い
M365 CopilotやChatGPTは「1回の質問に1回の回答」を返すQ&A型です。Agentic Workflowは、回答の先にある業務実行まで自動で行います。
- Copilot: 「過去の類似見積を探して」→ 検索結果を回答
- Agentic Workflow: 「過去の類似見積を探して、見積を作って、基幹システムに登録して」→ 全て自動で実行
iPaaS(Zapier / Power Automate)との違い
iPaaSはシステム間のAPI連携が前提です。Agentic WorkflowはAPIがないレガシーシステムでも、画面操作(GUI操作型AIエージェント)で連携できます。
Agentic Workflowの構成要素
Agentic Workflowを実現するためには、以下の技術要素が必要です。
1. RAG(Retrieval-Augmented Generation)
社内文書をベクトル検索し、AIの回答の根拠とする技術です。これにより、AIが社内固有の知識に基づいた判断を行えます。
→ 関連記事: RAGによる社内文書検索AIの構築ガイド
2. ツール呼び出し(Function Calling)
AIが「次に何をすべきか」を判断し、適切なツール(検索、集計、API呼び出し、画面操作など)を自動で選択・実行する仕組みです。
3. ノーコード・ワークフロービルダー
プログラミング不要で業務ワークフローを構築できるUI。ドラッグ&ドロップでステップを組み合わせ、御社固有の業務プロセスをAIに実行させます。
4. GUI操作型AIエージェント
APIが存在しない基幹システムに対して、画面を直接見て操作するAIエージェントです。既存システムを一切改修せずに自動化を実現します。
→ 関連記事: GUI操作型AIエージェントで業務システムを自動化する方法
Agentic Workflowの活用事例
製造業:見積回答の自動化
従来: 図面を見る → 過去案件を手動検索 → Excelで原価計算 → 基幹システムに入力(2〜3営業日)
Agentic Workflow導入後: 図面をアップロード → AIが類似案件検索+原価計算+見積書生成+基幹登録を自動実行(30分)
物流業:入出荷データの処理
従来: 受注メール確認 → WMSに手動入力 → 在庫確認 → 出荷指示書作成(1件15分)
Agentic Workflow導入後: メール受信を自動検知 → 内容を解析 → WMSに入力 → 出荷指示を自動生成(1件2分)
建設業:安全書類の作成
従来: 過去の書類を探す → 現場情報を反映 → 上長確認 → 修正 → 提出(半日)
Agentic Workflow導入後: 「○○現場の安全書類を作って」→ 過去書類を参照+現場情報を反映+ドラフト生成(10分)
導入を検討する際のポイント
どのような業務に向いているか
Agentic Workflowが効果を発揮しやすい業務の特徴:
- 複数ステップにまたがる: 検索→判断→入力→通知のように工程が複数ある
- 判断が必要: 完全に定型ではなく、過去の実績や文脈に基づく判断がある
- 複数システムを跨ぐ: 1つの業務で複数のシステムを行き来する
- 頻度が高い: 繰り返し発生し、自動化の効果が大きい
セキュリティ上の考慮事項
- データが外部LLMの学習に使われないことの確認(Azure OpenAI / Anthropic APIは学習に使わない契約)
- テナント分離によるデータ隔離
- 操作ログの記録と監査対応
- オンプレミス / 国内データセンターでの処理オプション
まとめ
Agentic Workflowは、「AIに質問する」から「AIに業務を任せる」へのパラダイムシフトです。RAGによるナレッジ活用、ツール呼び出しによる自律実行、GUI操作によるレガシーシステム連携を組み合わせることで、従来のRPAやiPaaSでは実現できなかった知的業務の自動化が可能になります。
Black AIでは、Agentic Workflowを実装した製品「AI Knowledge Core」を提供しています。社内ナレッジ検索から業務実行までをワンストップで自動化し、ノーコードでワークフローを構築できます。
関連プロダクト: AI Knowledge Core — チャットを超える社内ナレッジ × Agentic Workflow
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